◇開業医に「総合科」創設へ 高齢化、勤務医偏在に対応 診療科の自由掲示縮小も (1)
厚生労働省は1日、家庭医のように高齢者などの初期診療に当たる開業医を対象に「総合科」(仮称)を創設する方針を固めた。一定の知識と技術を備えれば、総合科の表示を掲げることができるようにする。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度がスタートする来年度の導入を目指しており、今後の診療報酬改定で大きな検討課題になりそうだ。
高齢者の在宅医療への転換を進める厚労省は診療所を地域医療の窓口と定め、質の高い医師を養成。「熱がある」「関節が痛む」などの症状がある人はまず「総合科」で診療を受け、必要なら専門医がいる病院を紹介してもらう。病院は入院治療や専門外来に特化。勤務医の負担を軽減させ、過剰勤務で病院を辞めるケースも多いとされる勤務医の偏在や不足を改善させる狙い。
現在、診療科目は麻酔科以外は内科、小児科など自由に掲示できる。しかし、総合科については、医師免許の取り消し・停止処分の権限を持つ医道審議会と厚労相の承認を必要とする方向で、診療科掲示に関する検討会を開き、認定条件などを決める。あわせて現在約30ある自由掲示の診療科目を減らす方向で見直す。
厚労省は、総合科の条件として、内科を中心に複数の疾患を診ることができるほか、認知症などの高齢者に介護サービス計画をつくるケアマネジャーと連携、終末期医療にも対応することなどを想定する。
現在、新卒医師を対象に実施されている在宅を中心とした地域医療の研修も充実させる。学会や日本医師会などと協力し臓器別の専門医でなく、へき地的な場所での実践を含めた総合的な診療を行えるよう養成システムを構築する。
現在、歯科を除く一般診療所は全国で約9万9000カ所。みとりや往診などに対応する在宅療養支援診療所は現在約1万カ所の届け出があり、総合科は在宅医療を進める要としたい考えだ。
▽診療科目の自由掲示
診療科目の自由掲示 日本では医師になって2年間の研修が終わると、麻酔科を除き約30種類ある診療科をどれでも自由に名乗って看板を出すことが可能。開業医は得意分野の診療科を掲げているケースが多い。この制度は日本独特なもので、戦後の医師不足が生んだといわれる。麻酔科は、生命の危険性に及ぶことなどから指導医の下で徹底した訓練と厚生労働相の承認などが必要となる。【5月2日共同通信社】
◇総合医は「言葉」が大事 患者の身辺も理解必要 (2)
【解説】厚生労働省が総合科の導入を図る背景には、社会的、経済的な側面など患者の身辺も理解しながら治療する医師が求められていることがある。
患者にとって、診療科目は病気になった時に受診するための最大の情報源。だが、どの診療科にかかってよいのか分からないといった声や、診てもらった専門の診療科では異常はないとの診断が出され、患者がたらい回しになるといったケースも少なくない。
欧米では、あまりにも専門化しすぎた医療への問題提起から家庭医、かかりつけ医など患者を総合的に診る医療が始まっている。日本でも「総合診療」の看板を掲げる大学病院もあるが、まだ一部だ。
日本医療政策機構の調査で、患者の7割が総合的に相談できる医師がいないと回答しており、開業医には患者が気軽に相談できるよう意識改革が必要だ。
医師は病気を診る技術も重要だが、診察を受けに来る患者には、それぞれ異なった生活があり沈んだ気持ちも抱えている。総合医には、こうした事情についても理解を深めることが求められ、そのために何よりも大切なのは「言葉」。患者は、医師の分かりやすい病状説明に納得し、優しい言葉や励ましの言葉に心強くなれる。【5月2日共同通信社】
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