◇呼吸器外し患者死亡 殺人で医師を書類送検 「悪質性低い」と意見書 和歌山県立医大分院 (1)
和歌山県立医大病院紀北分院(同県かつらぎ町)で2006年2月、家族の希望を受けて、延命措置を中止するために女性患者=当時(88)=の人工呼吸器を外し、死亡させたとして、県警が殺人容疑で50代の男性医師を書類送検していたことが22日、分かった。
延命治療の中止が刑事事件となる例は少なく、今後は和歌山地検の判断が焦点となる。県警は「悪質性は低い」として刑事処分を求めない意見書を付けており、家族の希望があったことや病状などを考慮し、起訴が見送られる公算が大きい。
延命治療の中止と刑事責任の関係は、国や医学界に明確な取り決めがなく、早急なルールづくりが求められそうだ。
厚生労働省は「報道でしか承知しておらず、和歌山県を通じて情報収集したい」としている。
調べや分院によると、医師は助教授だった06年2月27日、脳内出血で分院に運ばれた女性を緊急手術。術後の経過が悪く脳死状態となり、家族から「関東地方の近親者が来るまで延命してほしい」と求められ、人工呼吸器を装着した。
翌28日、親族が到着し、家族は「かわいそうだから呼吸器を外してほしい」と依頼。医師はいったん断ったが、懇願され個人の判断で受け入れ、脳死を調べる自発呼吸の有無を確認するためとして同日夜、呼吸器を外した。
5分経過後も自発呼吸は戻らず、看護師が合図したが、医師は再装着しなかった。女性は呼吸器を外してから約30分後に死亡した。
医師は3月2日に分院長に報告。分院は調査委員会を設置して経緯を調べ、同月28日、県警妙寺署に届け出た。県警は医師から事情を聴き、診療記録を調べるなどし、今年1月9日に殺人容疑で書類送検した。
家族から被害届などは出ておらず、分院によると、家族は「医師には感謝している」と話しているという。調査中に患者7人が死亡した富山県・射水市民病院の問題が発覚したため、捜査機関の判断を仰ごうと届け出を決めたという。
同様に医師が呼吸器を外したケースでは、北海道立羽幌病院の女性医師が05年5月に同容疑で書類送検され、その後不起訴となった。射水市民病院のケースは現在も富山県警が捜査している。
【2007年5月23日共同通信社】
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